前回に引き続きで、アパレルヒストリーを追いかけていきたいと思います。前回は戦後〜昭和を追いかけていきましたが、今回は平成になります。昭和の終わり頃にアパレル業界に暗い影を落とす反面、ユニクロなどの新興勢力が台頭してきた時代です。
平成不況と言われた時代にどのようにアパレル業界は変化して行ったのでしょうか。百貨店やアパレルメーカーはどのような戦いを強いられ、また現代においても強いられているのでしょうか。その光と影にお付き合い頂ければ幸いです。
平成生まれの方は馴染みがないかもしれませんが、昭和60年代は4年ぐらいしかありません。昭和天皇が崩御なされ元号が変わりました。しかし日本の経済はバブル絶頂にあり日経平均株価も40,000円突破も時間の問題とされていました。ところがここが長く暗いトンネルの始まりなのでした。
この時期は暗いニュースが本当に多くアパレル産業が光を浴びる事はあまりありません。ちなみに自身はこの頃高校生でしたが、「boon」という雑誌を良く買って読み、原宿・渋谷で古着をよく買ってました。Men’s non-noなどを見て、デパートでブランドの服を買うのはとてもとてもハードルが高かった事を記憶しています。当時を考えると、百貨店のビジネスは踊り場にあったと言わざるを得ないのかもしれません。
丁度この頃ユニクロがフリースを発売しています。既存アパレルメーカーの横目をよそに、爆発的な売上を記録しています。また、昭和53年に結ばれた日中平和条約を元に中国生産が加速しています。輸入品の売上が活発になり、川上産業の多くは姿を消していく事となってしまったのです。
IT革命が起き、人々がその単語に何とか理解しようとしている頃、ユニクロは米国進出を果たしています。快進撃は止まる事を知らずに人々の需要に応えていきます。SPAの志向がこの頃よりさらに強まっていきます。この頃渋谷109も雑誌メディアの影響もあり販売力を持っていました。今となっては懐かしいですが「カリスマ店員」もいましたね。
それとは裏腹に時代を謳歌していた百貨店が崩れ始めていきます。日本橋東急閉鎖を皮切りにそごうが倒産しマイカルも倒産しました。インターネットで本当に商品が購入出来るのか?ネットで服を買う事が有り得ない事だと信じていた時代です。この時代は未来のファッション史にも大きく参考点となる変換期だったのではないかと思います。
携帯電話(ガラケー)は電話とメール。パソコンは仕事。ぐらいにしか考えられなかった当時、新たなデバイス、スマートフォンが登場します。これにより人々のネットリテラシーが一気に高まり、ZOZO TOWNやAmazonなどがインターネットで商品が届く事を約束していきます。少し前までは半信半疑だったビジネスモデルが当たり前の世界になり、消費者も商品の知識が格段に上がり、メーカーはより厳しい商品作りを迫られて行く事になります。
それでもユニクロの快進撃は止まりません。ヒートテックを開発・発売し爆発的な売上を記録し、アパレル産業を牽引していきます。またこの頃はファストファッションは人気となり、海外からH&M、ZARA、FOREVER21が進出し、百貨店のアパレルビジネスは更に苦戦を強いられていくのです。
未来は…平成が終わり令和に突入しました。元号が変わったや否やコロナの問題やレナウンが倒産など暗いニュースが流れますが、次の10年はユニクロの一人勝ちなのか。新しいサービスが台頭しユニクロを追いかけるのか楽しみです。
本執筆にあたり下記を参照させて頂きました。
ファッションプレス様/ファッションビジネス史
http://www.fashionbiznavi.org/history/fbHistory/