通商拡大法232条とは?


貿易業務に携わっていると、貿易用語や各国との協定やWTOなどの単語があると気になりますね。2025年の経済ニュースは関税の話が盛んですが、通商拡大法232条というフレーズに聞き覚えありますでしょうか。そもそも通商拡大法232条とはどういったものなのかおさらいしてみたいと思います。

通商拡大法232条とは何か

新聞を読まない方でも昨今の関税による騒動は聞き覚えがあるのでは無いでしょうか。「関税率ってそんなにコロコロ変えて良いものなの?」「自国の有利になるように関税っていきなり変えられるの?」という疑問を解くのに通商拡大法232条の存在が全てを解決します。つまり、通商拡大法232条は、米国の国家安全保障に脅威があると判断された場合に、輸入品に制裁関税を課すことができる米国法です。1962年に制定され、当初は冷戦下における資源確保や防衛産業の保護を目的としておりました。表現が不適切かもしれませんが、通商拡大法を盾に関税率を変えているということになります。すごい。。

2024年の米国貿易赤字と主要相手国

これは2018年の前政権でも発動されました。鉄鋼やアルミに対しての追加関税を発動しました。最大の貿易赤字国が中国であり「安全保障」上で関税率を引き上がるなどして自国の産業を守るといった取り組みとなります。これはIT製品や半導体の部品など幅広いものによりますが、米国からすれば多く中国の輸入品があるので抑えたいという目的、自国の産業を守るという目論見。はたまた戦略物資を中国に依存しないようにする。などの多岐にわたる理由があるのだと思われます。

今後の国際貿易への影響と日本への示唆

通商拡大法232条はWTO(世界貿易機関)のルールとも衝突する恐れがあると指摘されております。WTOは安全保証を理由とした制限は例外的に認めていますが、はっきりと定義されていないため乱用の懸念を指摘しています。ですから米国だけが特別に関税率を引き上げられる訳ではなく、他国も原則的には認めれている条件となります。「報復関税」というフレーズが経済紙面を賑わせましたが、それはまさに対抗措置としての関税引き上げとなります。今後も関税発動については動きがありそうですが、こういった条件があると踏まえていると経済ニュースもわかりやすくなるかもしれませんね。

その他貿易用語解説を分かりやすく解説

JETRO参考サイト


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